アリア・マリア
日々野いずる

たゆたうなら私の喉のうちに
飛び込んできてマリア

肖像画に宿る瞳の輝きが
くもりガラスの乱反射なら
濡れたくちびるは朝に贈った口づけのあとだ
この声がスタッカートを引き起こして
アパートに響く楽器たちとは不協和音を
もたらすから
空の旋律に同調してリズムを刻んでくれ
私のマリア

かけがえのない声で
私を歌ってくれる
街からずっと聞こえてくるあの薄ら寒い声を
殺して陽気な夜想曲を。
マリア、君ならできるだろう?

天上から降りる音のそれぞれに
共鳴して私を迎えて、
マリア、わたしの。


自由詩 アリア・マリア Copyright 日々野いずる 2018-11-02 13:36:31
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