ひとつ 不変
木立 悟





何かが揺れて
降りはじまる雨
透り径 解け径
無数の目を持つ鬼の径


儚い糸
儚い角
光の跡が描くのは
すぐに消え去るものばかり


闇に常に降る破片
水を持たない水の傷
溝にあふれる光の音
何処かへ何処かへ向かう枝の背


踵と踵を合わせ
つま先を少し上げれば
星のそばまで着く
冷えて死ぬ前に帰る


狭い水に浮かぶ羽
際限なく重なりつづけ
半ば浮かび半ば流され
重さのためではなく沈みゆく


明るい曇の日
幸福が刺さったままの無感覚の手をひらき
降るものを降るものをこぼしながら
積もる無明を踏みしめてゆく























自由詩 ひとつ 不変 Copyright 木立 悟 2018-05-14 19:40:08
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