単振動
ねなぎ

夕暮れ時間

謝る姿勢がなっていないと
夜中の二時に怒鳴られて

周波数は応答せず

じっと見ていれば
何だその目はと言われ

気がつけば

必死に声を絞れば
聞こえないと笑われ

また外が暗い

全部片付けて
持って帰れと

過渡応答の時間は

投げ捨てられた
書類を掻き集めて

脳を揺らすだけで

社用車に積んで
何処をどう運転したかも解らず

角速度も解らず

日曜の誰も居ない
オフィスに座りながら

目眩だけを残し

鳴らない電話を眺めているのに
エアコンの音だけが沈んで

そして考える間もなく

キーボードを叩く何の意味も無い無機質が
じっとりと背中に張り付いている

なんとなく夏だった


自由詩 単振動 Copyright ねなぎ 2018-05-06 19:21:36
notebook Home 戻る  過去 未来