あぶない橋を
こたきひろし

あぶない川の上にあぶない橋を架けてはいけない
勿論だよ
わかっているさ
わかっているのに
あぶない川を跨ぐあぶない橋が目の前に現れると
衝動にかられてあぶない橋を渡ろうとした私だ

安定の上で揺れる不安
まるで背もたれの壊れた椅子に深く身を委ねたい不安
百パーセントの孤独に震える脳裡

ある筈のない奇跡
有るかもしれない来世

あぶない橋を渡りきれば
何故か断崖と絶壁
絶壁に咲いた花は美しくて
絶壁をよじ登る私は醜い

あぶない川に架かる橋の上に
雨はひとしきり降った
やんで晴れた空に現れた虹

あぶない川の上にはあぶない橋が架かっていた


自由詩 あぶない橋を Copyright こたきひろし 2018-05-06 19:42:59
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