日本より# アフガニスタンのあのポートレイトの少女に捧ぐ
たこ

 

君は
いまなお 鋭いまなざしで 
虚空を貫く光を
つかみ取る

夜が旋回する
未来は終わった

轟音の
明日は死んだ

少女よ
きみはまだ 生きているか

この地では 
また 花咲く季節を迎えた

柔らかな光は 霞む空を通り抜け
清らな水は おどりだす
街路のケヤキが芽吹きだして
あたりは、草木の気配に溢れている

少女よ 
きみはまだ 生きているのか

光が激しき熱を帯びる
大地の人よ

あの日生きとし人の業が目覚め 
うず高く 財という名のレンガを積んだ
バビロンの塔を突き崩した

轟く明日は 地獄から這い出し
業火をまとって いたるところを焼き尽くす

たおやかな 春は再びめぐり
柔らかな光と薫りが あたりを包む

少女よ
君のまなざしは 
いまなお 虚空を貫く光を
つかみとる

きみはまだ 生きているのか


自由詩 日本より# アフガニスタンのあのポートレイトの少女に捧ぐ Copyright たこ 2018-04-09 22:37:12
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