母は歪な愛を子に与える
狩心

僕は宇宙の大きさに耐えられない
沢山の可能性と希望を両手に抱えて生きることに疲れた
多くの人間は
極小だけど物凄い質量のぎゅーっと固められた点
ブラックホールみたいな点に向かう
というか吸い込まれていく
まで生きる

それが存在にとってどんなに平凡な答えであっても
どんなに特質な答えであっても同じように
無の中の安らぎに返る

僕は沢山の自由と可能性と希望に押し潰されて
至極平凡な安らぎの答えに逃げ込もうとしている
なぜだかそれが違うと分かっていても

ボロボロになっても諦められない本質がある
無駄な時間を沢山過ごしてしまう
いつも自分を奮い立たせようと努力している
心と体は死んでいるのに魂は死なないのだ
今の私が本当の私の姿ではないということ
そして本当の私など無いということ
それでもなお探し、彷徨い続けるということ

僕が宇宙の大きさに耐えられないのではなくて
宇宙が僕たちの存在に耐えられない
だから宇宙は今もなお膨張を加速し続けている
僕らの悲しみや喜びの全てを
一滴も逃さずに
保存しようと
奔走している

どこまで行っても謎は提供される
僕が疲れ果ててブラックホールに吸い込まれても
また新たな魂が生まれてくる
宇宙はなぜ存在することを選び、終わることを選ばないのか
僕はいつでも終わっていいと思っているのに
宇宙はとっても臆病なのか、それが無償の愛なのか
僕らには死がある、だからいつ死んでもいいように
毎日必死に生きている、
僕たちが宇宙の気持ちを知らないように
宇宙も僕たちの気持ちを知らないようだ

宇宙に終わりがあるというのは嘘だ
宇宙は臆病だから、終わることができない
死は美しい
僕らは宇宙が持てないものを持っている
宇宙はそれに嫉妬して
僕らに無限の可能性という苦しみを
与えているに
違いない


自由詩 母は歪な愛を子に与える Copyright 狩心 2018-01-21 19:56:34
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