いきざま
あおい満月

明な生き物が
浮かんでは消え浮かんでは消え、
繰り返してぐにゃりとうねりながら
私の指先を掴んでいく
生き物には目があった
私以外の他の誰にも見えない
声を持つ目が
生き物の目が何かを掴む
それは彼がけして向かうことのできない
世界の粘りけのあり異臭の放つ
黒い闇の感触だ
闇は舌を出して
生き物の周りを取り囲み
生き物の身体を舐めていく
腐りかけた果実のような舌に
生き物は目を閉じる
彼らはそうして
この透明な生き物を潰しにかかる
それでも抵抗を止めない生き物の
身体から血が滴る
この熱い一瞬の生きを
私はこの手で掴みとる


自由詩 いきざま Copyright あおい満月 2017-12-23 09:08:28
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