夜の歌。
ヒヤシンス


 届いた風の便りに耳を傾けると冬の音色がした。
 煤けた樅の木に電飾が灯った。
 静かなメロディーが部屋中に染み渡った。
 心の状態に合わせて蝋燭が揺れていた。

 窓の外は雪だった。
 純白の世界の中で街灯は逞しく灯っている。
 道行く人の吐息は鮮やかだ。
 誰もが家路を辿り幸せを願うのだろう。

 願いは祈りへと昇華してゆく。
 時におおらかに時に繊細に。
 ため息の数だけ幸せが舞い降りれば良いのに。

 せめてこの日ばかりは人生の主人公に。
 心の美しい部分に美しい音色を。
 そして夜は静かに更けてゆく。


自由詩 夜の歌。 Copyright ヒヤシンス 2017-12-23 04:21:27
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