指先の魚
あおい満月

針先で突き刺した
指先から
私というひとつの海を
絞り出すように
私は激しくもとめている
あなたのその、
果てない闇の底に
うつりこんだ私を

あなたは一匹の魚だ

つかまえようとしても
掴むことができない

私の手には
熱があってはいけない

熱があっては
あなたがとけて
逃げてしまうから。

熱をつくっている、
私にまとうあらゆる樹皮を
剥がして、剥がしきったさきに
あなたはいる

詩。

あなたにした
私という、

けして掴むことのできない
吐いても吐いても
吐ききれない、
尊い吐息。


自由詩 指先の魚 Copyright あおい満月 2017-12-15 21:20:54
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