「愛のある人生」について
あおい満月


あなたは目が見えないのね
と誰かが言う
私の目は見えているのに
意味がわからない
本当に大切なことは
見えないものを感じる心の目を
持つことだとあなたは言う
日に日に年老いて
目に見えるものだけしか信じられなくなった
母親を見ていてわかった
世界を開くために大切なことは
心の目を開くこと
その向こうに真実の愛はある
だから私は
あなたの目を見つめずにはいられない
あなたの声を聴きとるために

人生とは、お金のあるなしで決まることではない。長いようで短い時間のなかでどれだけの人に愛を与え、そして愛されたかが大切である。愛する人がいて、その人のことを誰にでもまっすぐに「愛している」と言える人に対して、難癖をつけるような人間は、本当の意味で愛を知らないのであろう。人生にとって大事なことは、人を愛することと、心の底から微笑むことだと、彼は教えてくれている。「きみはもっと、僕以外のたくさんの人を愛したほうがいい」と彼は言う。彼は正しい。もちろん私にも、愛する仲間はいる。けれど、一番、愛の軸になっているのは彼である。私は残りの人生を、彼に捧げることに決めている。きっと、いろんな人たちが、私を傷つけに来るかもしれない。けれど私はただ、まっすぐに顔を上げて、「彼を愛している」と心から伝えながら生きていきたい。いや、必ず生きていく。愛する人がいない人生なんて、きっと私のものではないから。たとえば、朝起きて、共に「おはよう」と言い合える人、食事を一緒に「美味しい」といって食べてくれる人、時には一緒に空を見上げて、お互いの夢や、人生について話し合える人、楽しい時は、一緒に笑いあえる人、そういう人がいる人生こそが本当に幸せな人生なのだと私は考える。私は彼と、そんな人生を創っていきたい。

                        2017.10.30(Mon)


散文(批評随筆小説等) 「愛のある人生」について Copyright あおい満月 2017-10-30 02:24:45
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