秋の空
星丘涙

雨はあがった
空をみあげると
久しぶりの秋の空がひろがる
みな、何者かにせかされ
脅かされ
あわただしく日々を暮らしている
夢を 野望を 安心を 理想を
追い求め
そして日は暮れてゆく
それでいい
これでいい
人間なんて
みなそんなもんだ
口では何とでもいえるさ
欲望のまま生きたり
理性に縛られすぎたり
知的に信仰的に
愛のために
金のために
それが正しいのか
なにがいいのか分らぬまま
せかされて
脅されるように
時を費やし
飯を食らい
気持ち良かったり
満足したり
愚痴をこぼしたり
争ったり
憎んだり
信じたり
疑いを懐きながら
自分を守り
家族を守り
幸せを求め
憑かれたように
疲れて
衰え
前を見て進み
立ちどまり
倒れ
思いがけず
この世から旅立って行く
それでいい
それでいいと思う
秋の空も、人生も
思い通りにはならないから





自由詩 秋の空 Copyright 星丘涙 2017-10-23 16:59:26
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