しるけ
斎藤秀雄

ゴールポストにはじかれたような空。
寺の鐘の音

びくつきながら

から
離れていって、次の鐘の音

びくつきながら
前の鐘の音

追いかける。

追いつくことは稀だと思う。

君はびくついているから。

西洋人が東洋をまなざすとき、
そのまなざしにこもっている、
審美的に観察しようという
汁気の多い趣味判断は、
向こう側から
こちら側に
ひだのように
折り畳まれていて、
君のまなざしに
インストールされている。
すでに。

折り畳まれた
まなざしを
じぶん
のもの

思い込んで君は、
審美的に
その身を差し出す。

彼らのまなざしたい欲望専用にこしらえたもの

まなざされるなら、
まなざされる瞬間

存在しているもの

存在していないだろう。

悼むことをやめ、ともにあらねばならない。
     (喪の挫折リミックス集)


自由詩 しるけ Copyright 斎藤秀雄 2017-06-28 00:52:28
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