自立神経
狩心

複雑な現象が一つの数式に閉じ込められている美しさと同じように、
複雑な情報が一つの身体に閉じ込められている人間というものが佇む姿は美しい
いや、人間だけではない
ありとあらゆる物が複雑なものを抱え、個で在ろうとしている

なぜ世界が境界線の無い一つの液体ではなく、
沢山の雫の集合体で在らねば成らぬのか

答えが一つの点に成る事は、次のビッグバンへ進む為の足掛かりにはなるが
同時に、他の選択で在り得たであろう可能性というものを
閉じてしまうという事でもある

自然に従い、それに気付かずに生きているのか
気付いていながら勇気を振り絞り、そうしているのか
どちらにせよ、別段変わりは無いだろうが、
個であろうとするという事は
既にある真実よりもそれを超えて行くであろう創造の可能性の方が
上位の価値のものである、という示しであり、同時に、
常に閉じているか、閉じる方向に向かうか、閉じることが出来ずに漂うか、
という危機を孕んでいる

何が言いたいかと申すと、
存在(表現)は常に真実を超えており、危機の中、勇気を振り絞り、
可能性と終わりを繰り返している、
それは一体何なんだ?

膨大な情報を生み出して、宇宙は一体何をしようとしているのか
おそらくこの答えは様々な宇宙を知って比較しなければ分からないだろう
ではこの時代、しかも科学者でもない私は、一体どうすれば良いのか
おそらくまだ解決できないその問題よりも上位の価値が見出せるものを探し出して、
新しい宇宙を見出すしかない

生みの親が掲げた主題と同じ主題を子も掲げなければならないというルールは無い
今まで宇宙という親に生かされていた提供されていた私というものを捨て
私は真の意味で自立し、本当の大人というものを目指すことを決意する

色々なものを肯定し、吸収する事は、
手掛かりとして利用する分には悪い事ではないと思うが、
それ以上に大切なのは抗うという事だ
抗いの中で私は私を超え、宇宙を超えて行かなければならない
それは生みの親である宇宙さえも見たことの無い「 何か 」である


自由詩 自立神経 Copyright 狩心 2017-03-23 09:11:25
notebook Home 戻る  過去 未来