風人間
服部 剛
駅の切符売場で
僕が地面に置いた、紙袋を
風を切って
倒していった幼い少年は
くるり、振り向き
「ママ切符買ってみる!」
「あら、横からすみません…」
一歩後ろに下がった、僕は
少々ほほえましく思う
(まぁ子どもだからしゃあないな…)
大人になってやったら、困るけど
(でも、待てよ)
大人になった僕等は
日々の「理由づけ」で
いつのまに脳の思考が
凍
(
こお
)
っているかもしれないなぁ
ほんとうに<ここぞ>のときは童心で
目的地へ一直線――もアリである
古
(
いにしえ
)
からの便りによりますと…
かの宮沢賢治さんも
時折は
(誰かを思いやるあまり)
熱いハートの高鳴りで
一陣の風そのものになり
「日々の場面」を切り裂いてゆきました
おぉやばい、踏切がかんかん鳴り出した
券売機に小銭を入れて、切符を買おう
自由詩
風人間
Copyright
服部 剛
2017-01-19 20:39:32
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