旅人の橋
服部 剛

今も昔も旅人は
長い橋を渡るだろう

――何処いずこから何処へ?

傘に弾ける豪雨に身を屈める日も
雪の坂をずぼり…ずぼり…上る日も
灼熱の陽炎かげろうゆらめく夏の日も
背には各々おのおのの荷を負い
この鼓動と歩調だけは
どこまでも止むことなく

もしも、少々疲れた時は
茶屋で一服、腰を下ろし
(心の窓を少し開いて)
隣の旅人と語らおう

そうして、再び旅人達は
地を踏み締めて、立ち上がる

遙かな過去から
数珠じゅずの糸でつながれた
今日という日を、明日へ繋ぐように

一枚の風景画に架かる
あの橋を渡ってゆく











自由詩 旅人の橋 Copyright 服部 剛 2016-06-23 19:30:07
notebook Home 戻る  過去 未来