ジャンキー
八雲みつる

世界には溢れ落ちるほどの悲しみがあって
奪い合うほどの幸せしかない

溢れ落ちた悲しみにも思い出がある
なのに 誰しもが口をそろえて拒絶する

幸せの種は不幸の種でもあるのに
期待と絶望は表裏一体なのに

ある日に捨てた悲しみから 小さな芽が顔を出した
望まれることなく それでも美しく

思い出の一つ一つが種であることに
気付かないまま漠然と求め続ける

奪い合うほどに 悲しみは溢れ落ちるのに


自由詩 ジャンキー Copyright 八雲みつる 2016-06-19 21:05:52
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