しくみ
八雲みつる

僕は、しくみをうたがった

銀河が回ること
それは、終わりのないダンス

波が寄せては返すこと
ジャブと、強振のストレート

光が射すこと
レースのカーテンは、ちぎれた雲

お湯が沸くこと
はげたおやじの、怒った頭

人を好きになること
心がころころ、転がり落ちる

たき火が燃えること
パチパチと、ケンカする組木

手が暖かいこと
痛いところを包む、包帯

オバケが怖いこと
心が、夜に負けていく

ごはんがおいしいこと
一生懸命だと、はらがへる

しくみを疑ったら
僕はなんだか、さびしくなった

さびしいこと
自分のしくみが、わからないこと

ぼく
しくみを考える、ちいさな人間


自由詩 しくみ Copyright 八雲みつる 2016-05-30 19:18:24
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