無為の輪郭
noman

胸の上の微小な斑点は
ほんの少しの
風力だけでその
配置を変えてしまい
圧力は少しずつ逸れていく
本棚は不格好に撓み
空の瓶底が
真新しい壁と同じ色になったら
抽斗を開ける
清潔な
写真のような動作
壁の前に立っていた者
たちが
逃げ去った後
白い日差しの膜に映った階段の
下から
浅い眠りに就いたばかりの午後を包むほんの
少しの風の匂いが立ち
上る


自由詩 無為の輪郭 Copyright noman 2016-04-17 21:48:00
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