向こう側から来る人はいない
noman

開け放たれた門の前を
数匹の猫が退屈
そうに通り過ぎた
門の内側で金切り声をあげる
子供達の服に
ざらざらとした灰が付着していた
門を叩く音がするが
気にする者はいない
まだ少し早かったのかも
しれない

子供達は昨日真新しい
橋を渡った
風に帽子を飛ばされないよう
抑える
ことに忙しくて
先のことを考える者はいない
遠くに回っていない風車が見えた
下を通ったのは
船だろうか電車
だろうか

カーテンを開けると
鏡に反射する光の中だけで
進んでいく時間がある
削り落とされた数字を見ても
子供達は笑わなく なった
閉ざされた窓が
あるべき
形を保ったまま
もう鳴ることのない警報を待ち
続けている


自由詩 向こう側から来る人はいない Copyright noman 2016-02-28 22:23:14
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