echo
八雲みつる

どこからか声がする
赤ん坊の笑い声のような、泣き声のような
どこかの空の下、割れんばかりの歓声が包む
海を越え、人種を越え、国境を越えて

地平を朱に照らす夕日は、どこかへ受け継がれて
今もどこかの国では、日が沈んでゆく
写真家が写真に収めた夕日に、夜は来ない
音楽化が奏でた夜想曲は朝を迎えない

人間の囁きと寝息を重ねて、地球は年を取る
繋いで行く命を懐に感じているのだろうか

擦ったマッチの火を太陽と比べてみる
ゆらりと浮かぶ優しげな小さい明かりは
指で弾いたら、消えてしまったけれど


自由詩 echo Copyright 八雲みつる 2016-01-18 21:17:34
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