回遊魚
ねこ歩き

あぁ 想像の域をこえないで
6畳間に敷かれた闇を揺らしていく

胸を突く思いが漏れて 光になる
輪郭を探るように触れる 常に僕らは 泳いでいる回遊魚

忘れたはずの傷み抉り出して キスをして癒して
その繰り返しを 愛と呼ぶしかない 情けない僕ら

月明かりが侵入して 鈍色のスクリーンが映された
影絵みたいな行為が 言ったっけ? 芸術の域をこえないで
6畳間に敷かれた闇を揺らしている

静まった喧騒と 身を潜めた怪物を
二輪で抜けて 気配を仕留める 深夜
待って! そこで気づいたんだ
息詰まった構想と 待ちわびた退屈を
誰が? この都市の中で

あぁ もうすべて忘れて 僕ら孤独を掻き集めて
それらすべてを突き合わせて また繰り返そう
君の声が掻き消すまで

闇を揺らしては 光を散らしていく
手探りの愛を 感性でしか満たせない
腐らぬようにと また揺らしていく
君と僕とは 闇夜を泳ぐ回遊魚


自由詩 回遊魚 Copyright ねこ歩き 2016-01-10 12:16:49
notebook Home 戻る  過去 未来