哲学を辞めた病める人
ねこ歩き

革張りのソファーに腰かけて 良質な音楽に身を委ねて
ニュースタンダードな暮らしを送る毎日
デザイナーズマンションで優雅に
赤ワインでも片手に ダーツの旅をしよう きままに きままに

アンティークな家具に囲まれて 見上げる様な天井で回るライト
温かみのある暮らしが夢だったんだ あぁ これはこれでいい

そう、僕は誰かが死にそうだって時に こんな詩を書いている
そう、僕は誰かが死にそうだっていうのに こんな暮らしを焦している
急いで

混乱を招くような言葉の綾取りを君と続けたいんだ永遠に
今晩も抱くような身体の足取りを君と綴りたいんだ生前に

海外ドラマを1日かけて 80インチのTVに釘づけて
デリバリーを頼んでディナー 要らないものなどこの世にない

カナダドライのクラブソーダ
グラスに注いですべて忘れて
今日も昨日も僕ではない 責任を放棄して自由に飛んでたい

だって、僕は誰かが死にそうだって時に こんな詩を書いている
だって、僕は誰かが死にそうだって時に 哲学を辞めた病める人

なにを想えば、救われるのだろう

「どうか生き延びて」と適当な相槌を仕方なく打った夜明け前


自由詩 哲学を辞めた病める人 Copyright ねこ歩き 2015-10-31 23:17:32
notebook Home 戻る  過去 未来