廻る
ねこ歩き

誰も探してない 衛星が周る
指を差した子供の向こう側 闇に飲み込まれて
まさか夢見ているだなんて想像もしてない
母親は「星が光ってる」なんて嘘を吐いた

それでは、中継が繋がっております
雑なモニターから 微か見えんのは過去の僕
記憶なんてそんなもんで 思い起こそうにも鮮明な必要はない
ただ忘れたくとも消えないのが 記憶ってもんで

誰も探してない 衛星が周る
指を差した木漏れ日の向こう側 光に飲み込まれて

タイムスリップは常にしているんだ
日曜の夜 鼓動に耳を澄ませて 枕元で未来が呟く
知らぬ間に選択した くじ引きの正解が
まるで君だけのオリジナリティみたいに勘違いして

誰も探してない 未来が廻る
雪の降った十二月の東京で 二人は飲み込まれた

さあ、手を開いて すべて受け入れよう
仕方なく訪れる死を しばしのお別れを
さあ、手を開いて すべて受け止めよう
白々しく明ける夜を したり顔の朝焼け

それでは、中継が繋がっております
雑なモニターから 微か見えんのは過去の僕
記憶なんてそんなもんで 思い起こそうにも鮮明な必要はない
ただ忘れたくとも消えないのが 記憶ってもんで

誰も探してない 意識が回る
やがて無意識は宇宙に投げ出されて

誰も探してない 衛星が周る


自由詩 廻る Copyright ねこ歩き 2015-04-19 22:57:52
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