AquArium

いつもより高い位置にかけてある
シャワーをとる
水滴も壁一面に広がる
湯気で見えないほど白い空間

お酒に酔わないわたしの判断は
いつだって冷静だから
この先に起こることくらい
容易に想像がついている

もう何度来たんだろう
まるで自分の家のように
くつろいでベッドに横たわり
テレビを見ている

ひとりじゃないんだ
という現実を噛み締めて
温かさを感じながら
何とも言えない歯痒さに包まれる

恋人らしく振る舞うのは
26時を過ぎたころ
その瞬間は誰のものでもない
その瞬間だけは

語尾がやさしくなるタイミング
少しだけわかってきた
わたしの名前を呼んでいいのは
この時だけだから

なんの制限もなく進む
あなたの奥の
奥の方へ、
本能が呼吸している

わたしはそれでも
常にもうひとりの私に
監視されていて
私はふたりを見て嗤っている

絡ませて
わざと離れて
背けて
引きつけて

ーゆっくりと沈んでいく大きな身体にこれでもかというほどの力を込めて、離さないでいる。冷たくならないように全身を使って必死で掴んでいる。限りなくゼロ距離に近いこの瞬間を少しでも、少しでも長くー

光が射す前に
落ちそうな毛布をかける
子どものように眠る
罪深い大人にキスをする

少し目を覚まして
あなたは心臓に引き寄せ
またやさしい顔をする
やさしい顔で残酷なことをする



自由詩Copyright AquArium 2015-01-25 22:57:36
notebook Home 戻る  過去 未来