夏歌を聴く
藤沢



音楽雑誌の裏表紙で好きな音を探した。
新しい知識と歌詞で心は満たされた。
ヒットチャートにヒップホップ。
数十年の時を超えて帰ってくるらしい流行。

自分自身を水中に沈めるラジオごっこ。
アンテナで探る手探りの数字。

数十年の時を超えて愛されたいから分割で断片を残す。
口で言えばいいのに、を遠回しに伝える。
黙って駅のホームで背中を押してあげる。
笑って白線の内側から追い出してあげる。
突っ込んで突っ込んで突っ込んで。
懐かしの紙芝居めくるように音楽早送り。
飛ばしたり繰り返したり慌ただしい指の動きが鬱陶しい。

海が青いですね、今日は星が降るのです、を変換。
そんな機能付の自分じゃない。
心臓は血液だけを吐き出してそこに本物の心臓はない。
脳は無駄なことを考えてその引き出しには鍵がかかる。
神経の通らない爪や髪は当てにしない。

君が好きな季節の歌を聴く。
君が好きな歩道の脇道を行く。




自由詩 夏歌を聴く Copyright 藤沢 2014-12-23 23:53:20
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