宇宙を盗撮
藤沢



薄い雲が空を覆う秋。
少女のそれが頭を覆う秋。
イヤホンの内側から耳を攻めてくる。
猫よりも愛らしい声が聞こえたからつい詰め寄る。
風に背中を押され勇気をもらい対価を渡す。
山は染まり透明な空気をさらに透明に魅せる。

耐えきれない今日に耐えて自暴自棄。
振り回すのは斧みたいな飴粒、砂糖菓子の弾丸。
失うものも無い夜。
失ってばかりの流れ星。
冷めることのない、から冷めて数年。
うなされる悪夢。
思い出される遠き日に位置付けた思い。
そっと閉じるアルバム、目蓋。
他人の断片で作り上げた一人分の身体を持った自分。
他人の受け売り。
他人の受け売りを売って生活を舵取り。
一人で過ごす流星群の夜。
頭上で死んでいく姿。
ミサイル。

他人と他人の干渉に干渉。
微笑み返す時、八重歯が光って流星群。

宇宙を盗撮する。
それもすごい角度から。
素早く、そしてさらに誰にも気付かれないように。
社会から目を閉ざされたとしても今ならばきっと。
宇宙を見たかった。
下から、あるいは。





自由詩 宇宙を盗撮 Copyright 藤沢 2014-12-17 14:08:40
notebook Home 戻る 未来