言葉
藤沢





今まで積み上げた下書きを削除して虚無に浸っては液晶と対話する日々。

言葉の神様が彼の頭上に水滴を落としたのだ。

時間は輪っかじゃない。
だから自分は先頭に立てない。
地球は丸いが平等に重力をかけるわけじゃない。
だからフラフラとまた浮いた頭でスキップするんだ。
街路灯の無い夜道に溶かされる感覚に似ている。

あの時自分を変えた言葉はもう既に存在し消えた。
言葉は発せられた時その人のものとなり、
他人の受け売りで溢れタバコの煙よりも軽い。
トキメキと仲良くしたい大人の玩具箱の中で眠ろう。

中学生の夏は長く短い。
電車を乗り継いで数十分の旅の先の映画館。
そこで見た映画の名前も思い出せない店員が放った言葉が此の期に及んで座右の銘になるとは。
思いもよらない衝撃波が今もたまに通り鳥肌が立つ。

気がつくと身体は大きくなった。
街路灯の無い夜道は狭すぎる。





自由詩 言葉 Copyright 藤沢 2015-03-07 04:12:21
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