夜光樹、成長痛
吐水とり

泣きはらした顔を凍らせたいのに
きれいな星がぼくのそばに
どんどん墜落する夜で
つちぼこりが目に染みる


感受性を死守したいだけ
ぼくの左胸に生える樹も
切り口からどろどろと泣いている


月のひかりに優しく串刺されながら
溢れる樹液をよるに吐いた
夜光虫があざ笑いながら街灯に群がる
この子の水は甘くない


関節が軋みをあげて背いをのばすから
いつか胸のなかの樹よりも
ぼくの心臓だって
ずっとおおきくなるだろう

この樹の下にうずくまって
延々泣く夜はもう来ない




星は唸りながら墜落していく
赤くなった目をこすって
もう一度吐き出した


糸をひいた
ただの唾


自由詩 夜光樹、成長痛 Copyright 吐水とり 2014-12-04 00:04:04
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