それからしばらくきみの吐息をきいた
吐水とり

ゆき ふる まち
色がきえゆく、きえ ゆく、ゆく、ゆく、
ぼくの指がそれをなぞるまもなく
きえゆく、ゆく、ゆく、ゆく、


きえ。行ってしまう。
「いってしまう。」

















行ってしまった。
「ふふ。」「だめか。」









ぼくと彼女はあてさきがなく
いつまでたってもあてさきがなく
すわりこんだまま、
こおっていく

みえるのはガム、吸いがら、すてられたはながらのネクタイ、
「ビー...エー...」
点滅するネオンかんのアルファベット、ゆき、ゆき、「ネオン管切れた」、
ゆき、ゆき、ゆき、だらんとほうりだした右足にもつもっていく、左足にもつもっていく、

他人のからだのようにながめていた
しかるひとはもういない
軽蔑するひとはもういない
「しんだらどこいこうか」
え?
「まだきめてないの」







つないだ手が
赤く赤くかじかんでいく


この世界で唯一の色だ
あか、
「赤、」


みえるだろ、
「みえるよ。」


「おやすみっていってから、すぐにはねむれないでしょ。
あなたのといきを聴きながらおきてるとたまらなくかなしいの」

ゆき。
まだふる。
ゆき。
もう
ぼくら
ないぞ
あか。
あか。
ゆき。
ゆき。











「誰かわたしたちをさがして」











ゆき。















「冗談だよ、ごめんなさい」

















きづいて
ぼくらのなみだが、ゆき だ





おやすみ。















「おやすみ。」


自由詩 それからしばらくきみの吐息をきいた Copyright 吐水とり 2014-12-01 23:50:04
notebook Home 戻る  過去 未来