水を、ください。
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消灯した病院の屋上に苗を植えました
コンクリートの上に植えましたそれは
新月にもかかわらず囁き始めていて
考えていることが夜に溶け出すのは
ずるずると引き摺る昔日の想いだけ
明日食べるパンが必要で植えたので
赤い糸が耳からほつれて出てくるし
そのままだと透明になって仕舞うから
糸を巻き直して反対側の耳から入れる
それでも片足はもう無くなっていて
そのことはお医者様から聞いていた
だからコンクリートに苗を植えるしか
それしか想い付かなかったから再度
明日のパンのために繰り返すのは
何か意味があるのだろうかと疑問符
それも真空の夜に溶け出していてさ
どこからどこまでがカラダだかわからん
それから自分って何かと考えていると
それも境界が曖昧で他者も自分だな
そうすると世界は自分と等価になる
もう神様も要らない充溢に気付くのは
病院が消灯じゃなく廃墟だと気付くのと
ほぼ同時だったのでパンも要らない
だから出ることのない芽を囲む囁き
湿った囁きを囲む僕等はきっと、花束だった。




自由詩 水を、ください。 Copyright xxxxxxxxx 2014-11-08 01:01:06
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