救済
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灰色の地面に咲く花は、きっと灰色だろう。
オフ・ホワイトの空には、黒い月が昇るのか。
黒ずんだ葉の白百合の園には、黒猫の屍骸がある。
そこに佇む貴方は黒いドレスに、蒼白の顔が映えている。

天使が、喇叭を吹いた。

食べ物は腐り 川は毒になり 強い酸の雨が降り 姉は髪を切って
太陽は黒くなって 夢は死んで 怠惰は欠伸をし 姉は髪を切って
ヒトは死ななくなり 苦痛は終わらなくなり 麻薬は効かなくなり 姉は髪を切って
獣が信仰され 消えない刻印を捺され 終わらない後悔が残り 姉は髪を切って



これはすべて貴方の瞳に映っていたモノ
貴方は恍惚の笑みを浮かべていた
モノクロォムの世界に住む貴方にとっては
それは芳しき楽園に違い無かったのだろう
だから僕は左耳を切って貴方に捧げた
左足の薬指を切って貴方に捧げた
左手の人差し指を切って貴方に捧げた
左眼を刳り抜いて貴方に捧げた



夜が来た。

黒いだけの貴方は美しくない。
だから貴方の右眼を刳り抜いた。
貴方の右脚を切断した。
貴方の右の腎臓を摘出した。
全て黒鍵のピアノを掻き鳴らした。
終わらない不協和音を撒き散らした。
黒い太陽は元には戻らないと確信した。
黒くなった白百合の園に除草剤を撒いた。
黒猫の屍骸を分解して並べた。
ハラの中の黒い澱が流れ出てきて、
それは夜に溶けて僕は拡張される。
黒いモノは全て僕になって、

だけど貴方は紅い眼を開いて、僕を終わらせてくれたね。


自由詩 救済 Copyright xxxxxxxxx 2014-11-30 02:40:55
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