自由によって運ばれてくる
鳴々門 零

眠りの端を吸いつけるように
鳧(けり)が清らくついばみを走らせた

マディソンという街の
澄んだ蒼にきらめくのは
寝起きを押しのけた海兵隊の
ブルースが舞う

うえの空の快(こころよ)い空気の一面でも
踊りに苦しむ
下界の嘆(なげ)きはまじわれない
犬も猫も 
そこでは目を瞑(つむ)るしかない

選択した眠りは
ふりをする偶像になれること
主(あるじ)が命のためにも
施すとき うえの空の響きが
閃光となって
澱(よど)んでいるのを貫く

鳧が圏(かこい)とのあいだを
思い残すこともなく身を振るわせる
楽しさのまなざしは
自由によって運ばれてくる


自由詩 自由によって運ばれてくる Copyright 鳴々門 零 2014-08-12 23:17:37
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