知者は心ある道を行く
yamadahifumi

人々は人生という「道」を

何かを手に入れるための

「通路」としてしか見ていない

人々にとって人生とは結局、

何かの為の通過点に過ぎず

手に入れられるものだけが全てだと

信じている

合格の為の受験勉強

就職の為の就職活動

彼らに結果の為の過程は意味なく

そしてその結果も結局は

社会が僕達の為に用意してくれたなにものかに過ぎない


「知者は心ある道を行く」と

カスタネダの師ドン・ファンは語った

そこでは人生とは通路ではなく

一つの道である

知者も自分が人々同様死ぬ事を知っているが

彼らは自分自身の道を歩む

彼らの道行きというものは

その瞬間瞬間が結果であり過程でもあるから

だから、彼らは正に人生を生きている


僕達が今している事は

やがて来るはずの何かの為に絶えず自分自身を延期させ

それを待ち受ける事

しかし、人生とは本当にそのようなものか

絶えず、心の道を歩む事

それが本当の人生ではないのか

もし、そうでないなら人生とは単に「通路」に過ぎない

そして通路の人生はただエスカレーターに乗る行為のように

目的地に着く為の手段に過ぎない


我々の人生は手段ではないのに

いつの間にかそれは手段になっていた

僕は自分がどれほど愚かでくだらなくとも

自分だけの道を歩きたい

そして、歩く事に意味があるのは

世界から一人離れ、この世界の外を

旅するからなのだ

古代メキシコの呪術師の行う

終わりなき「旅」のように


自由詩 知者は心ある道を行く Copyright yamadahifumi 2014-07-28 07:53:57
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