ホイップクリーム
藤鈴呼

観たことのない ダイヤモンドダストを 
彷彿とさせる

キラキラの世界 
雪の庭園と 美術館の 饗宴

溶け込んでしまいそうな 窓枠を 
額縁代わりにして

ふらふらと 水面に浮かぶ
逆さまの雪吊を 眺めれば

まるで 今年の干支
蛇を描いたみたい

揺らめく 一粒
はらり また ひとつ

白の世界を 艶やかに染める
椿 山茶花 

こんなに寒くても
愉しい気分が 広がって行く

本当に 粉砂糖を 振りかけたみたいね
そんな声と 笑い声が 響けば

動画の撮影方法について
レクチャーが 入る

ズームインしたら 後は 静かに
ずっと 動かさずに 魅せるんだ

嗚呼 色々 ちょこまか し過ぎたから
堪え性が 無かったかな

肉眼には 叶わぬと 知っていても
見落としがちな 一瞬の 結晶に
心 奪われながら
ゆっくりと 頷いた 冬の一コマ

丸い ドーナツの上で
トッピングの キミが わらう

早く 頬張らないと 
溶けて しまうよ なんて
追いかけっこを するかのように

ゴリラ観音の 手前では
丸い放物線を 描くかのような
杭と仕切りロープの 内側に

四角い デコレーションケーキみたいな
ホイップクリーム 

こんなに 大きい クリームならば
一発で 胃もたれて しまいそうだけれど

出来るならば 一度
ほおばって みたいな

笑顔で もぐもぐ
沢山の 砂糖の代わりに
繊細な 雪を 見詰めながら
もう一度 赤いボタンを 押した

今度は ゆっくり じっくりと
時間をかけて
堪能して もらえましたか


自由詩 ホイップクリーム Copyright 藤鈴呼 2014-06-21 14:21:34
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