赤信号の代わりに
藤鈴呼

寒さに 打ち震えて
外に出れぬ 心の弱さ
知ってる

知ってた

かつて 通り過ぎたのと
同じような
幾つもの トンネル

何度も
何度も

すり抜けて
生きていけると
信じた

通り抜けることが
叶わなかった
あなたの 代わりに

私達が 出来ることは
何だろう

底辺に 描かれた
白い瞳 

二人ならば 四つの目で
物事を 見定められる

視界に 映らぬ 死角の狭間で
微笑んで

ハリネズミの往来
細長い 雪の繊細さが
痛い

見詰めている だけなのに
フロントガラスが
絶対に 守ってくれる筈なのに

それは 嘘

若干の不安と
確定したペダルを 踏み締めて
今日も 走る

インターを降りれば
ぼやけた 奴奈川の姫と
煌めく工場の外側が
出迎えて くれる

信号のような
怪しい青緑に 照らされて

赤信号の代わりに
気になったのは

月にも 太陽にも 思える
オレンジの 灯りでした


自由詩 赤信号の代わりに Copyright 藤鈴呼 2014-06-27 19:46:40
notebook Home 戻る  過去 未来