夜の調理
ねこ歩き

不可思議の海へ飛び込んで 崩れた満月を嘲笑ってた
暗闇に火は点かなくて 萎れた煙草を君は指で撫でた 何遍も

虹をつくるレシピが 虚無の奥へと逃げ込んでから
何度も何度も 掲げてきたはずなのに 今や頭の片隅にもない

ふたり分の鬱を飲み込んで 焦げた太陽を眺めていた
くたびれて陽が沈んで 気付けば黄昏は記憶の向こう側 何年後?

西へはしるレースも 虚偽の旅だと決めこんでから
何度も何度も 諦めてきたはずなのに 今やすれ違う人もいない

やがて意識は途絶える
甘いプリンの思い出も スプーンでは掬えなくなるのさ
そして意識が戻った時
苦いジブンの思い出に フォークで刺された様な痛み覚える

お願いもう一度だけ 夜よ明けて
お願いもう一度だけ 夜よ明けて
彷徨う この場所は 昨日も見た場所 堂々巡りの月夜の下

お願いこの位置だけ 誰か教えて
壊れたコンパスが 自然を凌駕してしまった夕凪の日


自由詩 夜の調理 Copyright ねこ歩き 2014-05-11 22:54:36
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