救済
ねこ歩き

死が救済なら この繊細な肌 の下に潜む心を
いますぐに いますぐに

死が制裁なら その精彩を欠いた瞳の奥の闇を
いますぐに いますぐに

意味もなく生を与えられた
飾りつけの観葉植物も グラスに注がれた水も
何故か呼吸を繰り返している
何故か呼吸を繰り返している

死が存在なら あの純粋な母 の胸に潜む思いを
いますぐに いますぐに

意志もなく生を与えられた
人混みの中の私たちも プラスに考える頭も
何故か呼吸を止めたがっている
何故か呼吸を止めたがっている

幼少の頃から積み重ねた感情の数々は
大人になって気付けば意味のないものばかりになった
只、懐かしさだけが胸を苦しめ痛みつけ
残った未来は、途方もない犠牲を強いるように愛を語るばかりだ

細胞は訴えない ただ消えてゆく
風の音を聴く 明日の声に触れる 夢の濁りを味わう
真っ白な光を見つめる 真っ新な光を見つめる
そして、微か あの日の雨の匂いを感じてた 一人

詞が救済なら この繊細な肌 の下に潜む心を
いますぐに いますぐに


自由詩 救済 Copyright ねこ歩き 2014-02-23 21:14:21
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