書く動力 2
Dr.Jaco


会ったことも無い女性のうなじを追い掛ける。彼女のくるぶしにしがみつく、なんて
幻想。
例としての記述。
   液体に近い光の、その水面の裏にいる女神
   その水面に顔を浸ければ女神は背後にすり抜ける
   顔を上げれば視界の背後に隠れる
   水面を横から見ても「水面」という厚さは存在しない
会ってもいない「言葉さん」とのやりとりに関する大げさな比喩である。これは則ち、
「言葉さん」について「ああでもない、こうでもない」と言いながら書くことの失敗
である。物事には二面性があるよ、とか、いやいや多面性があるよ、とか、おっとど
っこい揺らいでいるんだよ、とか、言いながら書くことの失敗である。   

何だろう、話がもう終わってしまったような気がする。どう言っても無駄だよ、と私
は考えていないだろうか?
でも、私は「ああいう」か「こういう」か、ハッキリ決めて書くことしかできないの
だ。決めてなくても書いた結果は決めて書いたのと同じ。
それは貴方がいるからである。
「貴方」とは、このフォーラム上に掲示される私の文書を目にする少数(もしくはゼ
ロ)の人である。私がどんなにいい加減に書こうが、気合いを入れて書こうが、書い
たものは書いた瞬間に死体である。触媒であるからには、貴方が居ないと生き返らな
い。私自身が読み返せば「ああうっとり」のナルシスト。朗読すればゾンビの群れが
貴方を襲う。

と、いうことで、今現在の登場人物を整理しよう。
  ・「言葉さん」
  ・私
  ・貴方

登場人物の関係は?
  ・私は「言葉さん」を愛しています。
  ・愛していることを伝える相手は実は貴方です。
  ・貴方が理解した時に、「言葉さん」との一方的な愛は双方向的に結実します。
取り敢えずこの3点で行こう。書いている内に何か出て来たら付け加えるとして。

この文章のタイトルは「書く動力」である。先に「うんざりする反復の動力」と書い
た。「3つの関係と反復の動力」について書いていこう。「動力」については、気の
早い「貴方」であれば、それが自律的か否かというところへ一足飛びにいっちゃうか
もしれないけど、現時点は中立としておく。(別に種明かしなんてないけど)
「反復」については明示しておく。
あ〜あ、「愛と憎しみ」だって!


散文(批評随筆小説等) 書く動力 2 Copyright Dr.Jaco 2005-01-10 23:11:56
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