今日、狂、興爛La
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決められた路しか走れない鉄の匣の中に
小さな蝶が迷い込んで、ふいに私は其れを掴んだ。

翅を捥ぎ、手足を捥ぎ、壊さない様に、そっと、そっと、
のたうつことしかできない、木偶を作ったんだ。

私は其れを小さな保存瓶に入れて“飼う”ことにした。
すこおしだけ、蜜を入れてやって、壊さない様に、そっと、そっと。



嗚呼、これが人間だったら如何だろう? 私は考えた。
少しだけ変わる景色だけを眺めて、何を思うだろう? 私は想像した。



すると如何だろう、決して同じではない
毎日の景色、香りが此奴めには残されていた。
もっと、もっとみじめでなくてはならない。
私は、目を潰し、触角を捥ぐことに決めた。



壊さないように、そっと、そっと――あ。



嗚呼、嗚呼、アタマが取れて仕舞った。
此奴は壊れて仕舞った。するとどうだろう、



ころり、と。私のアタマが転がった。



何と言うことだろう。私はアタマだけで生きている。
神か何か、其う云う奴がそうしたに違いなかった。

私は左側を向いて止まった。
そこからどうしても、反対を向くことはできなかった。

しかし反対が向けても大したことはないと気付くと、
同時に、私にはほんの少しだけど、変わり行く景色や香りが残されていると思い至った。

と、同時に、目が潰され、鼻に栓をされた。
私には、暗闇と、思考だけが残された。



私は――生きている。




自由詩 今日、狂、興爛La Copyright xxxxxxxxx 2013-10-26 22:02:22
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