煙突と空 
服部 剛

高層階のCafeで  
いちめんの窓に広がる
扇の街を
ぼんやりと眺めていた 

煙突から 
ひとすじの煙が昇っている 

灰色の煙はしゅるしゅる 
空の青へ  
吸われるのを見ていると 
日頃濁ったままの心が 
いつしか空になってゆく 

日々の喧騒から抜け出した
ひと時に
一枚の絵画のような
あの煙突と空を     
しばらくここで鑑賞していよう 

微かな玩具の軋む音に 
まなざしを下ろす、ビルの足元から 
たった一両の貨物列車が、今 
扇の街の間を抜けて 
果てないレールの伸びる未来の方角へ 

夢の荷物を届けに 
段々小さくなっていった・・・








自由詩 煙突と空  Copyright 服部 剛 2013-05-08 21:00:44
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