その喪失
ロクエヒロアキ

死者をたやすく蹂躙するものの手は
どちらが裏か表かわからない
これ見よがしに
包帯など巻いているから
なおのこと

わたしは、と言えば
彼/彼女の残した足跡に
そっと自分の靴を乗せ
たたずみ
何もかもが相変わらずうつくしいことに
このうえもない哀惜を覚えながら
すこしだけ
後退してみる

いくつもの
そんな迂回をくりかえす


自由詩 その喪失 Copyright ロクエヒロアキ 2013-03-22 00:20:04
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