『のぞみ』
あおい満月

しあわせなひとは
はなれていても
よりそいあえるひと
わたしのなかの
皮のような
息をしない
過ぎていったふるいのぞみを剥いだら
何ものこらない

何かが残った
それはとてもうすくて
ひらひらしていたけれど
どんなものにも裂かれない
強靭な何かを持っていた

それが
さしだされた
手のひらにあった
あなたの体温
左手の強さ
問い掛けるという
つめたさも
あきらめない厳しさも

あなたは大地のように
海のようなわたしに生きている

もしも、
あなたに問うものが
あるならば
わたしのなかの
屈折した潔癖さ
出口のない
やり場のない怒り
こたえのない問い
これらを抱えて
わたしはどう生きればいいのか
あなたには出来るだろうか

わたしの見えなくなった闇に
朝を導くことが
夜が明ける
幾度目かの新しい時に
何かを刻みつけるとしたら
わたしたちは、



                    二〇一二年四月二二日(日)


自由詩 『のぞみ』 Copyright あおい満月 2012-05-27 15:58:41
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