長島三芳さんを偲ぶ ー画廊喫茶ラバン・アジルにてー 
服部 剛

画廊喫茶ラバン・アジルに 
人生の四季を旅してきた詩人は集い 
Jazzの流れる店内は 
セピア色の電球に照らされ 

白髪の詩人達は 
在りし日の詩人の魂と 
いくつもの思い出を語らい 
夕陽が海に沈む頃 
店のドアから出ていった 

ひとり残った僕に、髭のマスターは語り出す 
「店の名は兎が跳ねるっていう意味でね、 
 無名の頃のピカソやユトリロが夢を語り 
 会話をはずませた店もラバン・アジルで・・・」 

Jazzの流れる無人の店で 
グラスと酒の片づいたテーブルに 
僕は頬杖つきながら 
在りし日の詩人の面影を 
先ほどまで語らっていた 
夢の余韻に浸っている 

やがてウイスキーの酔いも覚め 
素面しらふの右手は、ペンを取る 

在りし日の詩人が 
人生の出口の闇を見据えながら 
夏の向日葵に心を重ね 
生の決意を語る詩を  
セピア色に照らされた原稿用紙に 
僕は綴り始めた 





自由詩 長島三芳さんを偲ぶ ー画廊喫茶ラバン・アジルにてー  Copyright 服部 剛 2012-04-04 00:05:13
notebook Home 戻る  過去 未来