カニ食べに行こうー
あおば

             111218








    背
  後

 を
信じるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
                                      と

  コロッケ
    が
     騒ぎ
 がらんどうを
   突き抜けて
喚く
  大人
     の
声が
横町を
    通り抜け

八丁堀の同心の耳にも届くのだと
朱房の十手が
観念したかというようにがっちりと刀身を抑え付ける
後ずさりしながら楽屋裏から逃げ出したこそ泥は
コバンザメの半七と呼ばれているが
その頃はただの半七と呼び捨てられて
冷や飯に水を掛けては呑み込むようにかっ喰らい
米の飯とお天道様だけはついて回ると信じていた
出世して今ではコバンザメと綽名され
大身のお武家様の屋敷を伺うのが日課となっている
奥向きの腰元衆に黄表紙をそっと差し出しては
平然と盗んだ簪やツゲの櫛を売りさばく
盗品なのは内緒なのは言うまでもないが
黄表紙に夢中の腰元衆は
二次元の世界に遊ぶのに馴れているから
重さのある物質には頓着しない
お財布の中身と釣り合うかなどとも思わない
旬の蟹食べに行こうなどとは
口が裂けても言わないはずだと
とっときの榧の油でコロッケを揚げながら
腰元衆に気に入られるように身を細かく解し
頬張りやすいよう苦心をこらしている












「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、エイジさん



自由詩 カニ食べに行こうー Copyright あおば 2011-12-18 11:06:05
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