かたっぽ
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左だけ、はいた靴下の
もう片方は
ひざの上に乗せている
今 泣いてはいない


冬が立ち止まったまま
なにか、みつけて、いいかけて、やめて、
悲しげなまなざしを隠すように笑った


くもる窓ガラスのむこう
まるくやさしく
とぼけた風景は
かわいそうに
絵に、つかまってしまったんだね


暖房の気配を
心臓の匂いを
木々が空を目指すことを
わたしが息をすることを
切ない、切ないと、哀れんでください、ねえあなた
ああ
悲しんでください
色が、だって、色が




木枯らし、間違えて
わたしまで枯らして、凍り付いてしまったの
テンポが落ちていく
それは気持ちいい
てのひら
まぶた
あしのうら
あたたかい


一秒、一秒をこぼさずに舐め取って
助かりたいのです
冬、あなたを、見殺しにしても






自由詩 かたっぽ Copyright ________ 2011-12-16 00:52:43
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