くーるくるくる良い目眩
あおば

                   110620




どんなに素晴らしい内容でも、端から理解できないことをしゃべり続けられては堪りません。また、時間がないときに丁寧に詳しく話されても困りますし、会話を成立させるのは難しいです・・。
お腹が空いたら
チーズかまぼこを輪切りにして串に刺して揚げる。
宅配便がまだ届かないので
約束の時間が来たのに外出できないとメール
今頃イライラしたり腹立ち紛れに絶交とか
もう見限ったよと決められたりしている頃だと思うと
時計がなかった時代の方が気が楽だったよと考える
昔だって
月が山の端から顔を出したときとか
神社の杉の梢に隠れたときとかに
決められていたんだから
そんなに遅れるわけにはいかないぜと
小さな兄貴が横から口を出す
律儀な兄貴は几帳面
義姉さまとのお約束の買い物に出かけました
横着な弟は
引き籠もったまま
古い上着を繕っております
着た切り雀の甚平と綽名され
リサイクルショップの前では
首を縮めて立ち止まる
古着屋の前では胸を反らし
交差点を右に折れ
モノレールを頭上に感じながら
とあるビルの1階に辿り着いた
其所では月の出を合図に詩の朗読会が催され
遅刻してゲスト朗読を聞きそびれた人も居ましたが
月が杉の梢に隠れる頃までは賑やかな人の声に溢れ
夢中のうちに
チーズかまぼこの気配も失せて
お腹が空いたなぁと
誰もが感じる頃まで帰る人はいませんでした。






「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作



自由詩 くーるくるくる良い目眩 Copyright あおば 2011-06-20 20:22:46
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