神はまた遠く
茶殻

雨と雨の間に岸があり
岸と岸との間には
ひたすらに薄暗い海が続いている

鴎はその青さのあまり光となり
灯台のあたりを
喚きもせず 揺れる

週末の地下鉄に
エンゲージリングを拾う
泥棒がいる

「千の冷蔵庫に
 シャーレに閉じた
 微笑を」

雨にうたう声
静かに眠れる
月になれたなら

枝と枝の間に空があり
空と空との間に
生まれない彼らの羊水が溢れている


自由詩 神はまた遠く Copyright 茶殻 2011-04-27 17:40:31
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