会いたい人
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朝焼けなのか夕焼けなのか分かんないような
冷たい色の空
ずっと遠く 鳥の影が頼りない
電灯のあかり、電柱をつなぐ線を視線で辿る
いま、会いたい人がいるよ
元気でやってますか

鞄にずっと入ったままのティッシュ
どこかの街角でもらった、いかがわしい広告入りのもの
こんなものでも
誰かが考えて
誰かが注文して
誰かが作って
誰かが配って
そうして、わたしのとこに来たんだね

吐く息が冷たい
知らない土地でひとり
駅、慣れない切符、慣れない案内放送
「危ないですから黄色い線の内側でお待ちください」
目が合ったOL風のお姉さん、すぐに目を逸らした
同い年くらいかな、でもわたしよりずっと大人らしい
知らない形の吊革
なんだか諦めがついた
だいじょうぶでも、こわい

少し過去の、でも、確かにあったこと
悲しむために電気を消してお風呂に入ったけれど、涙は
ちっとも出て来やしなかった
髪や体を洗っている間だけは自分に優しくできたのだから

会いたい人がいる
君の描いた絵をもっと見たい
君の歌う歌をもっと聴きたい
君の撮った写真をもっと見たい
笑った顔、また見せて
わたしたちが生きている
たったの
ほんの
一生のうち

一緒の時間を過ごそう
分け合って味わおう
会いたい人がいるよ





自由詩 会いたい人 Copyright ________ 2011-02-20 02:54:22
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