空中散歩
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一段、一段、階段を上がると
わたしはその分、地面から遠ざかる
足元にはおもちゃみたいに小さい車、ひとびとが
忙しそうに動き回っている

こんなに狭いのに、都会では
あっちで市民団体の演説、
こっちで大学生の野外ライブ、
そっちでローカルアイドルの握手会
忙しいね
頑張ってるね、生きているんだ

高いところからは見えるものは多いけど
ぜんぶ遠くて、ぼんやりで、優しくなる

わたしは大人になった、
なってしまって、
だいたい疲れていていつだってちょっと悲しい
だけど執着できる人やものに囲まれて
一生懸命に暮らしている

金網の向こうには、ただ、空
展望台まであと少し
かんかん、足音鳴らして
空をかじって、すすむ





自由詩 空中散歩 Copyright ________ 2011-02-20 02:06:05
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