消費する
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皮を剥いた野菜を刻み
大きな鍋で煮込んだ
できあがるころにはもう眠らなければね
まいにちの時間が決まっているので
わたしは、少しずつのことだけしかできない
もうおやすみ

次の日になったら料理をあたためなおして
お皿に盛り付けるけれど
わけもなく悲しくなって泣いた
テレビを消して電気を消した
今日はもう終わり

お皿を眺めている
家の外で音がしている
人の声も混じっているみたいだけど
関係ないもの
音楽をかけて眠る

翌朝
冷たくなった野菜を口に運ぶと
からだがあたたかくなって
きもちが安心した

わたしと対峙するこのたべものが
時間といっしょに消費される
この事実が
たからものみたいにいとしい
明日はなにを作ろうか
まいにちがすすんで
わたしのまわりで絶えず何かが消えていく
くりかえして
くらして
わたしが最後に消えるときに
その事実が
だれかのたからものになりますように




自由詩 消費する Copyright ________ 2011-02-02 00:10:47
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